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自動車専用道路がスタジアムに! JCL2023 高知県宿毛市ロードレース

自動車専用道路がスタジアムに! JCL2023 高知県宿毛市ロードレース

フィールドスポーツ

2023年9月24日、「三菱地所JCLプロロードレースツアー2023 高知県宿毛市ロードレース」が前年に続き開催されました。日本で唯一、自動車専用道路を活用した特設コースを、今回もプロのロードレーサーたちが疾走しました。


2022年に続き、宿毛市でJCL公式戦を開催

JCL(ジャパンサイクルリーグ)は、2021年に開幕した国内プロサイクルロードレースのリーグです。「自転車を通じた地方活性化促進」をコンセプトの一つに掲げており、リーグには地域密着型チームが加盟しています。

2023年JCLに加盟しているのは、下記7チーム。

  • キナンレーシングチーム(和歌山県新宮市)
  • レバンテフジ静岡(静岡県富士市)
  • さいたま那須サンブレイブ(埼玉県さいたま市&栃木県那須地域)
  • スパークル大分レーシングチーム(大分県大分市)
  • 宇都宮ブリッツェン(栃木県宇都宮市)
  • VC FUKUOKA(福岡県)
  • ヴィクトワール広島(広島県)

選手たちは日本各地で開催される国際自動車ロードレースに参戦して技術と能力を競い合い、同時にサイクルロードレース競技の普及に尽力しています。

高知県宿毛市でJCLの公式戦が初開催されたのは2022年。その時の模様やJCL高知大会のコースについては、下記で紹介しています。

市民が参加できるホビーレース

JCLプロレースを前に、当日は一般サイクリストが参加できるホビーレースが併催されました。2023年のホビーレースは、小学1〜3年生レース(ショートコース1周)、小学4〜6年生レース(ショートコース2周)、中学生レース(ショートコース3周)、40分エンデューロ(ショートコースを何周走れるか競合)の4部門。プロレーサーが走る特設コースを自分の自転車で走れる貴重な機会であり、朝からたくさんのサイクリストたちが県内外から集合しました。

エントリー数は、小学生12名、中学生6名、40分エンデューロ(高校生以上)33名です。

愛媛県から参加した小学2年生の女の子(写真:左)は、元々ランバイク経験者で今は地元のサイクリングジュニアクラブで活動中。「絶対優勝したい!1番になる!」と話してくれました。

続いては、高知県の中学3年生の男子。

「自転車競技部の友達に刺激を受けて、自分もロードバイクが趣味になりました。休みの日には、一人でロングライドしています。今年ホビーレースに初参加できてうれしいです。その友達も出ているので、しっかりついていきたいです」。

高知市からはプロの競輪選手たちも参加。

「今日は高知競輪をアピールしたいと思って参加しました。ロードにしろトラックにしろ、もっともっと自転車競技が盛り上がったらいいなと思いますね。今日の目標は、無事に完走することです!(笑)」

たくさんの応援団に見守られ、1周1.8kmのホビーレースがスタート!暑い日差しの中、コースを駆け抜けるサイクリストたちに温かい声援が送られました。そして参加者たちは堂々たる走りを披露しました。

小学2年生の女の子「上りがしんどかった!疲れたー」。

小学5年の男の子「負けちゃったから、練習頑張って来年も出ます!」。

小学2年の男の子二人組「みんなと走って緊張感があったけど、楽しく走れました」。

続いては中学生レース、40分エンデューロで健闘した高知市の中高一貫校の自転車部の皆さん。

「上りがきつかったです。集団についていこうと必死で頑張りました」。

「自転車競技の楽しさは、スピード感、風を感じる爽快感です。レースはめちゃくちゃ疲れましたが、楽しいですね!」。

参加した高知工科大生。

「トラブルなく完走できたので、自分としては満点です!空気がめっちゃきれいでした。宿毛のいい空気を吸いながら、楽しく走れて良かったです。ずっと自転車を続けるつもりなので、来年も参加したいです」。

最後にお隣の四万十市から参加した男性。

「いやーしんどかったです(笑)普段は週に4〜5回は自転車に乗ってるけど、レースの速いペースで40分はキツかったです。でも地元の近くでこんな大きな大会があるのは嬉しいですね」。

ホビーレースのあとには、地元の「土佐宿毛いごっそ太鼓」のメンバーによる和太鼓演奏や、宿毛市立東中学校の生徒たちによる吹奏楽演奏、さらにレース直前には地元のよさこいチーム「幡多舞人」のよさこいパフォーマンスも披露され、会場を盛り上げました。

白熱した試合展開、JCLプロレース

いよいよプロレースがスタートです!1周12.5kmのコースを10周する、トータル125kmのレースが幕を開けました。

コースは前大会と同様です。見どころはやはり、自動車専用道路を閉鎖した特設コース。スピード感のある展開が予想されます。

スタートラインに集結する選手たち。今年はJCLの7チームのほか宿毛選抜チームも参戦。たくさんの観客がカメラを向けたり鳴子を振ったりして見守る中、選手たちは1周パレード走行を行い、本格的にレースが始まりました。

自動車専用道路を疾走する選手たち。2周目の高速道路区間では、集団の中から果敢に飛び出す選手が現れ、トップ集団は次第に追走の選手たちを引き離します。

しかし後方の選手も諦めません!各チームが積極的なアタックを行い、追撃体制を崩さず、必死に追いかける姿がありました。

この日は激しいレース展開でしたが、中盤、キナンレーシングチームのライアン選手とドリュー選手、ヴィクトワール広島のカーター選手が抜け出します。強力な攻撃に、追走の選手たちとの差は広がっていきました。

勝負の行方はホームストレートにまで持ち込まれました。多くの観客が見守る中、ライアン選手がラストスパート!ガッツポーズで見事ゴールを切りました。なお当日は積極的な試合展開となり、前大会を上回る平均時速44kmのハイスピードなレースとなりました。

優勝したライアン選手。

「とてもハードなレースでしたが、前回勝てなかったので気合いを入れて臨み、自分の力を出すことができました。自国であるオーストラリアにはハイウェイを走るレースがないので、エキサイティングな気分です。地元の皆さんにも感謝します」。

オーストラリアの選手3名が表彰台を独占!

2位のカーター選手は「厳しい展開だった。ハードでした」、3位のドリュー選手は「かなり疲れたよ。チームのために走って良かった」と、それぞれに疲れを見せながらも笑顔を見せてくれました。

また1回目のスプリント賞(スタートから3周目完了時に1位通過者に与えられる)は、地元宿毛選抜チームの松井選手が獲得。

「地元の宿毛なので、周回賞、狙ってました!皆さんありがとうございました!」。

さらに表彰式では、ツアー表彰として現在1位の山本選手もステージに上がりました。

「積極的に走って、チームとして優勝できて良かったです。残りのレースもモチベーションを上げて頑張っていきたいです」。

個人として結果を出すのはもちろん、チームとしても高みを目指して選手たちが戦っていることを、改めて感じることができました。

今年はメイン会場だけでなく、高速道路沿いにも応援ブースが設置され、多くの観客が熱いレースを見守りました。

地元のご夫婦

「昨年会場でずっと観ていて、ファンになりました。スピード感はもちろん、駆け引きとかもすごく面白いですよね。今日も応援に来たい!って朝からウズウズしていました。選手の皆さんが、こうして宿毛まで来てくれることにすごく感謝しています。うれしいですね。来年も楽しみです」。

地元の中学生

「会場でスタートを見てから、急いでここまで自転車で来ました。やっぱり高速道路はスピードが違うので面白いです。僕たちは友達同士でロードバイクのクラブを組んで、2時間くらいかけてみんなでサイクリングに行ってるんです。今度もまた行く予定なんですよ」。

サイクリングファン

「今年初めて観戦に来ました。すごいスピード感ですね。今日見ていろんなチームを知れたので、また来たいなって思いました」 。

スタート・ゴール会場でも、たくさんの人が観戦。会場内には特産品や飲食ブースも出店し、地元名産の「ブリのタタキ」が振る舞われる場面も。また宿毛産の完熟小夏を100%使用した小夏ジュースも人気。お祭りのような雰囲気の中、地域の皆さんがレースを楽しんでいました。

最後に

2022年に続き開催された、プロ自転車ロードレースの模様をご紹介しました。2023年はホビーレースに小学生・中学生の部が新設され、子どもたちも熱い走りを見せてくれました。またエンデューロにも多くのサイクリストが参戦。爽快な走りのあとは熱心にプロの走りを応援する姿があり、来場者皆さんの自転車競技愛を感じることができました。

会場はもちろん、沿道や高速道路沿いでも地元の方々が応援をしていた今大会。宿毛の街全体がスタジアムという雰囲気は、前大会同様でした。

先ほど紹介した中学生3人組のように、宿毛市では趣味でロードバイクを楽しむ人が多いといいます。街には自転車愛好家や学生が多く集う自転車店もあるそう。地域ぐるみで自転車競技を盛り上げる宿毛市、2024年も大会が開催されることを期待したいですね。