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巨大ダムの壁面に登る!横瀬川ダムでダイナミッククライミング

巨大ダムの壁面に登る!横瀬川ダムでダイナミッククライミング

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2020年7月に高知県西部の宿毛(すくも)市横瀬川ダムにオープンした日本初のダムクライミング施設「横瀬川ダムクライミングウォール」。スポーツを通じた経済発展や地域活性化について学ぶ大阪体育大学の皆さんが地域の環境資源を活かしたアクティビティを体験します。

日本初の試み「横瀬川ダムクライミングウォール」の誕生

「横瀬川ダムクライミングウォール」は、その名のとおりダムの壁面を利用した日本初のクライミング施設。水を貯めない下流側の壁面に、高さ8mの初級、中級と2つのコースがあります。ホールドと呼ばれる突起物のついた壁を登り、登るスピードや高さを競う「スポーツクライミング」をダム壁面で体験できるとあって、オープン前から話題を呼んでいました。

ダム建設計画時より、昨今広がりを見せているダムや橋などの大型公共施設を観光に生かす「インフラツーリズム」を推進しようと、宿毛市や観光協会が計画。建設途中から観光協会主催でレアな工事の様子を見学できる「夜間工事ツアー」なども開催し、ダムを活用して地域を盛り上げる取り組みを行ってきました。そんな中、東京オリンピックで正式種目となったスポーツクライミングの人気を受け、ダム壁面をクライミングウォールにするアイデアが浮上。日本初の試みが、国土交通省の協力のもとで実現しました。

地域住民の暮らしと環境を守る横瀬川ダムとは

横瀬川ダムは、四万十川の右支川・中筋川に流れ込む横瀬川に設置されたダムです。豪雨地帯にも関わらず土地の勾配が緩やかな中筋川流域では、大雨のたびに周辺の河川が氾濫を繰り返していたため、すでに建設されていた中筋川ダムとともに、洪水を防ぐために建設されました。

地域の人の暮らしを守るために誕生した横瀬川ダムは、周辺の自然環境に配慮したエコなダムとしても知られています。横瀬川ダム周辺は、棚田の続く昔ながらの里山風景や、シイ、カシなどの天然林が多く残る場所。ダムのすぐ下には水神が宿っているといわれ、「とどろの滝」や「雨乞いの祠」などの名所もあります。これらを守るため、放水時の水流をセーブする「側水路減勢方式」を世界で初めて採用しました。周辺の山々と一体化した特徴のあるダムの形状も目を引きます。

ダムクライミングを体験

学生たちが訪れた横瀬川ダムは、高知駅から車で2時間40分ほどの宿毛市にあります。壮大なスケールの中で楽しめるスリル満点のクライミングを体験してきました。

クライミングコースは、初級、中級の2コース。地上約63mの場所からダム頂上まで 全長8mに、どちらにも25個の自然石のホールドがセットされています。初心者コースのホールドはざらざらで角張っているため掴みやすく、中級コースの方は大きくて丸いので少し掴みにくいのが特徴。

さらに、中級コースはホールドのセット位置もランダムで、次にどこを掴み、どこに足をかけるのかを瞬時に考えながら登る必要があるため、少々難易度が高くなっています。 

体験の流れは、次の通り。まずは申し込み書の記入と料金の支払いを済ませたら、壁面部のダム点検用通路を通ってクライミングウォールへ。普段足を踏み入れることがないダムの裏側に潜入すると、まるで探検家のような気分で冒険心が溢れてきます。

専用のハーネス、シューズ、ヘルメットを装着し、オートビレイ(命綱)を取り付けたら、クライミングコースのスタート地点であるダムの外側に移動。しっかりとした足場はありますが既にかなりの高所感。

ガイドの説明を聞いていよいよクライミングがスタート。つい腕の力だけで登ろうとしてしまいますが、それだとバテてしまうため、足の力を使って登っていくのがコツ。ハシゴを登る感覚で、手は体を支える程度にします。命綱をつけているので心配はないものの「もし落ちたら」と考えるだけで恐怖心が増してきます。

室内のクライミング施設と違い、眼下に広がる景色のスケールが壮大です。頂上付近は地上から約70m・・・。上を見ても下を見てもその高さに身震いします。女性陣は途中何度かリタイアしそうになりながらも、何とか全員が頂上まで登り切りました。登り切ったらゆっくりとロープを伝ってスタート地点まで降りてきます。地面に足が着いた時の達成感と安堵感もたまりません。

体験を終えた学生に「ダムクライミングをしてみてどうでしたか?」と、感想を聞きました。

高橋 彩花さん

「大阪にはないスケールのダムで、こういう景色を見るのも初めてです!水を貯める所というイメージだけだったダムが、こんなに楽しい場所になるなんて、今回来られて良かったです」

西坂 ひなたさん

「なかなか登れなくて、途中で無理!誰がダムにクライミングウォールを作るなんて言い出したの!?と、絶望しましたが・・。よく考えてみると、壁面だらけのダムの一部をクライミングウォールに活用するのは、すごくいいアイデアだと思いました」

白岩 紳さん

「初心者コースは比較的簡単でしたが、中級コースは思った以上に考えて登らなくてはいけなくて、難しかったですね。もっとクライミングをやってみたい気持ちになりました」

山下 裕叶さん

「高知に来たのも、ダムを見たのも初めてで、大きさに驚きました。ダムを使ってアクティビティを作るなんて考えたこともなかったので、衝撃的でした。実際登ってみると、想像以上に頭も体も使うので、楽しかったけど疲れましたね」

中級コースは少し体力とコツがいりますが、ガイドいわく初級コースは大抵の方が登り切れるとのこと。小学4年生から60歳以上まで体験された方がおられるとのこと。想像を超えるロケーションの中、たっぷりのスリルを味わいながらのクライミング。初めての人もクライミング経験者も、非日常な体験が間違いなしです。

老舗のカフェレスト「スワロー会館」で“横瀬川ダムカレー”を堪能

ランチは横瀬川ダムから車で約30分、JR平田駅すぐそばのカフェ&レストラン「スワロー会館」で。2019年に創業50年以上の趣を残しつつリニューアルした「スワロー会館」は、地元住民から愛され続ける施設。レトロかわいい雰囲気の中で、和食、洋食、スイーツまで創業当時からの味が楽しめます。

横瀬川ダムの誕生とともにメニューに加わったのは「横瀬川ダムカレー」。お店特製のほどよくピリ辛のカレーでダム湖を、ご飯でダム本体、緑の野菜で周辺の豊かな自然などを表現していて、彩り豊かで具だくさん。ダムクライミングの後は必食です。

今回体験したダムのある宿毛市は、自転車を使った町おこしにも取り組んでおり、地域の環境をいかしたアクティビティも盛んです。2022年には、国内で初めて自動車専用道路を使用したプロロードレース「ジャパンサイクルリーグ」も開催されました。

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高知県らしい自然あふれるネイチャースポーツを感じられる場所として、是非訪れてみてください。

施設情報

横瀬川ダムクライミングウォール

住所/宿毛市山奈町山田6144-10
電話番号/0880-63-0801(宿毛市観光協会)
HP/https://sukumo-darumayuhi.jp/
開放日/毎月第2、4日曜(※変更の場合あり。宿毛市観光協会のSNS、HPで告知) 
予約/体験は事前予約制。HPまたはお電話で 
料金/高校生以上500円、中学生以下250円 
所要時間/1時間 
参加条件/小学生以上、体重100㎏未満の方

スワロー会館

住所/宿毛市平田町戸内1717-2
電話番号/0880-66-0408
営業時間/11:00~21:00(不定休)