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高知県初の女子硬式野球クラブチーム「10 Carat Express」

高知県初の女子硬式野球クラブチーム「10 Carat Express」

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「10 Carat Express(テン・カラット・エクスプレス)」は、2022年4月に結成された高知初の女子硬式野球クラブチームです。今回は、村上祐基監督と選手の皆さんの声をご紹介。夢を追いかける選手たちに注目です!

ハツラツとしたプレーに感動!

子どもから大人まで、幅広い世代に人気のスポーツ、野球。そんな野球界で今、「女子野球」がアツいんです!高知県では2022年4月、女子硬式野球クラブチーム「10 Carat Express(テン・カラット・エクスプレス)」が発足。同時期に中四国地方では、中四国女子硬式野球リーグ「ルビーリーグ」が開幕しました。ルビーリーグは、3部制で19チーム(1部:7チーム、2部:6チーム、3部:6チーム)が参加する中、現在10 Carat Expressは3部に所属しています。そこで取材班は、2023年9月に行われたルビーリーグの公式戦、10 Carat Express VS 室戸高校の試合を観戦しました。

試合は7イニング制で、それ以外のルールはJABA(日本野球連盟)と同じです。

好天に恵まれたこの日、試合は13時からスタート。選手たちは積極的なプレーを展開し、先制点を取られた後は、巧みな攻撃で同点に追いつきました。さらにフォアボールで塁に出た選手は、果敢に盗塁にチャレンジ。守備の時間帯も「ナイスボール!」「もう1球!」と野手陣からバッテリーに大きな掛け声が上がり、外野手も華麗なキャッチでアウトを取るなど、チーム一丸となって戦っていました。

そして何より印象的だったのは、選手たちが終始笑顔で、ハツラツとプレーしていたこと。それは10 Carat Expressも室戸高校も同様です。全力で投げ、打ち、走る姿に思わず感動!観ているこちらの方が晴れやかな気持ちになりました。

試合は序盤、拮抗した展開でしたが、10 Carat Expressが7回表に走者一巡の猛攻で一挙大量得点。外野に抜ける爽快なヒットも出て、見事勝利を飾りました。

村上祐基監督にインタビュー

試合後、村上祐基監督に話を伺いました。

ー今季からルビーリーグに参戦されていますが、女子野球の盛り上がりはいかがですか。

村上監督「野球は男性がやるものとかつては認識されていましたが、最近は徐々に女子野球の知名度が上がってきたと思います。実は女子野球のワールドカップも開催されていて、日本は2023年現在、6連覇中なんですよ!フィールドの条件は男子と変わらず、硬式ボールを投げて打つ、取る、その姿を見たら、きっと面白さを感じていただけると思います」。

ーはい、今日まさにその面白さを間近で実感しました!選手の皆さんのプレー、本当にすがすがしいですね。実は高知では女子高校野球が盛んなんですよね。

村上監督「高知中央高校と室戸高校、2つの強豪女子硬式野球部があります。たくさんの選手たちがプレーしているのですが、これまでは卒業後、高知県内に女子野球を続けられる場がなかったんです。ぜひ彼女たちに、社会人になってからも夢を追いかけ続けてもらいたいと思い、高知県内の企業10社が集まってチームを設立しました(2024年1月現在は12社)。チーム設立には、スポーツを通じて高知県を元気にしたい、地方創生を目指したいという思いも込められています」。

ー設立当初と比べて、選手が増えたと伺いました。

村上監督「2023年10月現在14名が在籍しています。選手たちは普段は社会人として働きながら、また学生として勉学に励みながら、練習や試合に参加しています。毎週水曜の夜と、土曜・日曜・祝日が練習日です。シーズン中の週末は試合も行っています。現在在籍しているほとんどの選手は私がスカウトしたわけではなく、『高知県で硬式野球をやりたい』と、選手が仲間を誘うなどして集まってくれました。チームを設立してもらってよかったと思います」。

ー選手の皆さんの経歴は?

村上監督「高知県で長年野球をやってきた選手もいれば、野球をするために県外から高知県に来た選手もいます。年齢もさまざまで、一人一人個性があります。今後はトライアウト等を実施して、さらにメンバーを増やしていければと思っています」。

ー村上監督は、高知ファイティングドッグスで活躍し、3度のベストナインに選ばれ、盗塁王も獲得した経歴をお持ちです。ご自身の経験から、選手の皆さんに伝えていることはありますか。

村上監督「野球ができている環境にももちろん感謝していましたが、プレイヤーから離れた時に改めて、いろんな方のご支援、ご協力があって野球ができていたと痛感しました。『独立リーグは給与が安い』というのをよく耳にしますが、いやいや、野球をやってお金をもらえるだけでどれだけありがたいことか。10 Carat Expressの選手たちは野球でお金をもらっているわけではありませんが、練習環境の提供であったり道具の提供であったりと、本当に多くの支えがあって野球ができているということをしつこく言っています。感謝するだけでなく行動に移さないといけないので、野球で結果を出すこと、地域貢献活動、女子野球普及活動に力を入れていこうと話しています」。

ー試合中は、どういった心持ちで臨んでいますか?

村上監督「いろんなシミュレーションをしています。試合展開を想定しスターティングラインアップを決めています。もちろん気は抜けません。今まで経験したことのないようなことも起こるので。2023年にそういった試合が一度あり、その時、一番最悪なケースを頭に入れておこうと思いました。私の過去の経験から選手たちの心理状態をイメージし、ピンチの時チャンスの時それぞれに適した声がけをするようにしています」。

ー今後の目標をお聞かせください。

村上監督「女子野球の大会・全日本女子硬式野球選手権大会で優勝し、日本一になることです。日本一になって高知県を盛り上げたいですね。それから、地域の皆様への貢献活動もどんどんやっていきたい。高知の皆さんに『10 Carat Expressに元気付けられた』と言ってもらえるようなチームになりたいです。もちろん選手たち自身が『10 Carat Expressでやって良かった』と思えるようなチームづくりを、これからもしていくつもりです」。

選手たちの声

続いては選手たちに、野球を始めたきっかけや現在の思いをお聞きしました。

まずは背番号7番・弘内 麗夏(れいな)選手。

「高知県出身です。弟が野球をやっていて楽しそうだなと思い、小学3年生から始めました。中学生の時はソフトボールのクラブチームに入っていたのですが、やっぱり野球を続けたいという思いがあって、女子硬式野球部のある室戸高校に進学し、寮生活を送りました。そして卒業後は高知工科大学に進み、男子の硬式野球部に入部しました。でも男子の中では思うようにできなくて、退部してしまったんです。当時は試合に出たい、野球がしたいと悶々としていました。そんな時、10 Carat Expressの設立を知りました。約2年のブランクがあったので迷いましたが、野球は子どもの頃から続けてきた唯一のことだったし、不完全燃焼は嫌だったので参加を決めました。今は働きながら野球をしていて毎日忙しいけど、“楽しい”の方が勝っています。野球の楽しさは、やっぱりチームプレーかな。失敗したら助け合い、良いプレーをしたら喜び合う。うちのチームはみんな仲が良くて、今、毎日が充実しています」。

続いては背番号27番・寺村美波(みなみ)選手。

「高知県出身です。野球を始めたのは大阪に住んでいた小学1年生の頃。兄が野球を習い始めて、練習について行ったり兄と父のキャッチボールを見ていたりするうちに、気づいたら自分もユニフォームを着ていました(笑)。その後、小学3年生の時高知に帰ってきて、中学3年生まで地元の少年野球チームに所属していました。中学3年の時は、野球を辞めようかなと思ったこともありました。でも諦めきれず、高校は女子野球部創部3年目だった京都両洋高校へ。やりたいと親に話したら行かせてくれて、京都府で寮生活を送りました。大学は女子野球部のある岡山県のIPU環太平洋大学に進み、みんなに支えられてキャプテンも務めました。

大学卒業後は1年間、野球から離れて香川県で働いていたんです。その時は心にポカーンと穴が空いてしまった感じで。そこで高知にUターンして、現在は高知市で小学校の教員をしながら10 Carat Expressの活動に参加しています。今こうしてチャンスをもらって野球をしていると、やっぱり楽しいな、野球がただただ好きだなって実感します。観てくださる方にも、楽しそうやなと思ってもらえるよう、明るくプレーしていきたいですね。学校の子どもたちも『ポスターを見たよ!』って応援してくれるんです。チームとしては、やっぱり日本一を目指したい。まずはルビーリーグ2部昇格を目指して頑張っていきたいです」。

最後に背番号17番・沖田茉優(まゆ)選手。

「広島県出身です。父が地元の少年野球の監督をやっていて、兄もそのチームに入っていました。身近に野球があり、私も小学1年生から野球を始めました。中学校では野球部の受け入れがなく、ハンドボール部へ。今思えば体づくりに役立ったと思いますが、当時はまた野球がしたい!という思いが強くありました。そこで野球部のある室戸高校への進学を両親に相談したんです。一度やりたいとなったらきかない性格だと、両親もわかっていたんですね。高知県には縁もゆかりもありませんでしたが、快く送り出してくれました。高校時代は野球に集中できましたね。地域の人に応援してもらって、3年間で高知が大好きになりました。高知に何か恩返しがしたいと思い、卒業後は高知県で就職しました。そうして働いていた時、たまたま10 Carat Expressを知ったんです。参加を決めて、今は働きながら活動しています。生活の中心が野球で本当に忙しいんですが、みんなと野球できるのが楽しくて仕方ありません。偶然なんですが勤め先の会社が10 Carat Expressの協賛企業で、私の活動を応援してくれています。広島の両親も試合を観にきてくれるんですよ。今後はもっと勝てるよう、実力をつけていきたいです」。

おわりに

野球が大好き!女子野球で高知を盛り上げたい!という監督や選手たちの思い、皆さんにも届いたでしょうか。2023年のルビーリーグは終了しましたが、選手たちはオフシーズンも高知県東部室内練習場、伊野商業高校グラウンド、四国銀行野球部グラウンド、いの町総合運動場野球場などで練習を続けています。見学や体験は随時受け付けています。興味のある方はぜひ、選手たちに会いに行ってみてください!また、春から始まる2024年ルビーリーグもみんなで観戦して、選手たちを応援しましょう。練習情報や試合情報は公式ホームページにアップされていますので、ご確認ください。