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本場高知の熱い演舞!第70回よさこい祭り前編:練習に挑む踊り子に密着!

本場高知の熱い演舞!第70回よさこい祭り前編:練習に挑む踊り子に密着!

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南国土佐の夏を彩る一大祭典、よさこい祭り。今や海外にまで広がっている「よさこい」発祥の地・高知では、毎年8月9日から12日まで、1万人を超える踊り子が高知市内を踊り歩きます。今回は本番を控えた踊り子2人に密着。スポーツ未経験の2人は、果たしてダイナミックなダンスを踊れるようになるのか!?ご期待ください!

第70回よさこい祭り

燦々とふり注ぐ太陽の下、響き渡る賑やかな音楽と鳴子の音。そして華やかな衣装に身を包んだ踊り子たちは、一糸乱れぬ踊りを披露します。毎年8月9・10・11・12日。高知の街が踊り子たちと観客の熱狂に包まれる「よさこい祭り」を、皆さんはご覧になったことがありますか?

2023年、よさこい祭りは第70回という節目を迎えます。記念すべき第1回は、戦後の混乱がおさまりつつあった1954年(昭和29年)。戦後の不景気を吹き飛ばして市民や商店街を元気づけようと始まりました。その後「日本の祭り10選」に選ばれたり、フランスのカーニバルに招待されたりと知名度がどんどん上がり、1983年の第30回大会には参加者が1万人を超えます。そして平成に入るとその規模はさらに大きくなり、1万5000人を数えるまでになりました。 

こうして高知の夏を毎年盛り上げてきたよさこい祭りですが、中止を余儀なくされたことがあります。それはまだ記憶に新しい2020年、2021年。国内外で広がった新型コロナの影響でした。2022年は、よさこい鳴子踊りの特別演舞として、縮小開催に。 

そうして迎えた2023年。今年は4年ぶりの通常開催が決定しています。踊り子たちのステージは高知市内に17ヶ所、参加チームは157を予定。県内外から約1万4000人の踊り子が参加すると予想されています。

よさこい祭りの基本

ここで簡単に、高知が誇るよさこい祭りのルールを紹介しましょう。 

まず1つ目は音楽です。原点の「よさこい鳴子踊り」は、愛媛県出身で高知県在住だった武政英策氏が、民謡「よさこい節」をベースに作曲しました。よさこい祭りでは、音楽のどこかにこの「よさこい鳴子踊り」のフレーズ(曲)が入っていればOK。サンバ調にもラテン調にもアレンジは自由自在です。この自由奔放さが、高知のお祭りらしいといえるでしょう。 

そして2つ目は踊り。実は「鳴子を鳴らし前進する踊りであること」以外、ルールはありません。ただこの「前進する」が難しいところでもあり、魅力でもあるところ。それは後ほど練習レポートで紹介します。 

そのほか、よさこい祭りを象徴するものが、踊り子たちのゴージャスな衣装と祭りを盛り上げる地方車(じかたしゃ)です。地方車はトラックを思い思いにデコレーションしたもの。搭載したスピーカーから鳴り響く音楽、トラック上でのマイクパフォーマンスなど、その迫力に圧倒されます。 

踊り子たちが演舞を披露するのは、市内に設けられた競演場&演舞場。2023年は17ヶ所に点在しています。中でも日曜市で知られる追手筋本部競演場は、南北それぞれ2車線がメイン会場に。街のど真ん中の主要道路をお祭りのメインステージにしてしまう豪快さも、やっぱり高知らしい!そのほか帯屋町演舞場など、踊り子と観客の距離がとても近くて一体感を味わえるのも、よさこい祭りの魅力です。

・よさこい祭り公式Web Site – 競演場・演舞場案内
http://www.cciweb.or.jp/kochi/yosakoiweb/stage/

踊り子に密着!練習初日

お待たせしました、ここからはよさこい祭りに参加する踊り子のレポートです。 

 (写真左:たまちゃん 写真右:すずちゃん)

踊り子は、10年ぶりに参加するすずちゃんと、初めて参加するたまちゃん。まずはどうしてよさこい祭りに参加することに?

たまちゃん「小学生の時に運動会で踊ったことがあって、実は両親もよさこいを通して知り合って結婚したというくらい、よさこいは身近にあったんです。でもコロナ禍でここ3年くらい、よさこいを観ることから離れていて。今年4年ぶりにフル開催されると聞いて、久しぶりに観てみようかな、せっかくだから参加しようかな、と思いました」 

すずちゃん「そうそう、高知にいたらよさこいってすっごく身近なんです。周りには毎年踊っている人がいたり、私自身も10年前に参加したことがあったり。踊っていない時期も、お友達が踊るのを観に行っていました。今年はたまたまインスタでオシャレなチームを見つけて、久しぶりに参加したい!って思ったんです」 

よさこいは観客がすごく近くから応援するイメージがあるけれど、本番を想像するとどんな感じなんでしょう。 

すずちゃん「それはもう、アイドルみたいな気分です、みんな踊ってる私を観て観てって(笑)。せっかく踊るから、友達みんなに観にきてもらいたい!そのために頑張ります!」

お話を聞いた日は、練習初日。2人が参加するチーム「呼子商店街」のインストラクターが、手の動き、足の動きを参加者全員に一つ一つ教えていきます。 

「1、2、3、4、はい、体を斜めに向けてー。5、6、7、8、手を前でビシッと止めまーす」 

最初は音楽は鳴らさず、リズムを取ることから。前日に通しでインストラクターの踊りを観たという2人ですが、「できると思ったけど、ついていけない〜」「本当にできるようになるかな・・・」と不安顔。普段スポーツをしない2人にとってはゆっくりペースの踊りもかなり辛いようで、休憩時間には「明日、絶対筋肉痛や!」「もうすでに足がプルプルしてる・・・」と息を切らせていました。 

また、最初は緊張した面持ちの2人でしたが、出会ったばかりの周りの人たちとも談笑するなど少しずつリラックスした雰囲気に。そして練習初日分の踊りを必死にマスターし、周りの人たちとも息が合うようになっていました。 

「呼子商店街」では、週4回、主に19:00〜21:00に練習。小学生の子どもは学校が終わったあと、大人たちは仕事終わりに練習会場に駆けつけます。年齢も職業も違うメンバーが集まって生まれた100人超のチーム。ここから本番まで、練習を通して少しずつ輪が広がり、仲が深まり、その絆が強くなっていきそう。そんな、よさこいならではの物語の始まりを見た気がします。 

ここで「呼子商店街」について紹介しましょう。チームは今年結成した新顔。代表の澤村玲甫さんは生粋の高知女子で、すずちゃんやたまちゃん同様、よさこいがいつも身近にありました。

「コロナ禍でよさこいが中止になって、商店街の盛り上がりが欠けていくのを寂しく感じていたんです。参加チームも減少して。だったら踊ってみたいと思ってもらえるチームを自分たちで作ろう!と、結成しました」と、その理由を話します。 

「もともと、よさこい祭りは商店街のお祭りなので、チームのコンセプトは、“呼子商店街”という架空の商店街が盛り上がるイメージです。昔のよさこいを知っている人も、最近のよさこいを知っている人も楽しんでもらえるよう、“昔と今の融合”をテーマに、曲や衣装も考えています」 

発表後、チームのコンセプトに共感した人たちからどんどん応募があり、最終的には100人を超えるメンバーに。新チームがよさこい祭りに新しい風を吹かせてくれそうです。

本番を1ヶ月後に控えて

練習初日から約2週間、2人は猛スピードでひと通りの踊りを習い終えました。 

「うちのチームの踊りは初心者でもできるように考えられているそうなので、なんとかついていけそうです」とすずちゃん。週4回のチーム練習に加え、たまちゃんは家で動画をチェックして自主練し、体に動きを叩き込ませているとか。そしてさらに2週間後のチーム練習を、また見学させてもらいました。 

今回は練習がだいぶ進んだとあって、音楽に合わせて最初から最後まで踊ります。 

「縦列、横列が乱れないよう、合わせて進んでください」「3列目から少しずつ空いてしまってますよー」

そう、よさこい踊りは単に踊るだけでなく、隊列を組みながら前進しなければならないのが大変なところ。2人も「同じ場所にとどまって踊るのと、進みながら踊るのとでは断然違います」とその苦労を話します。 

それでも1ヶ月前に比べて、2人の踊りは素晴らしい出来。週4回の全体練習と家での自主練を頑張っていることが伺えます。 

この日は何度も何度も通しで練習。その都度、代表やインストラクターから修正点を指摘され、一人一人が自分の動きを見直します。そうして練習の最後には「めっちゃきれいにそろっています!」と代表から太鼓判をもらっていました。 

練習が終わったあと、2人は息切れ状態。「練習は夜だからいいけれど、当日は日中に踊り続けないといけない。体力つけて頑張らないと!」と気合を入れます。 

また今後は本番に向け、練習がどんどん厳しくなっていくといいます。大変そうだけれど、参加してみてどうだったのか、また本番に向けた意気込みも聞かせてもらいました。 

すずちゃん「周りが優しい人ばかりで、楽しみながら練習に参加できています。当日は踊り続けられるか不安だけど、メダルをもらえるように頑張りたい!」 

(※よさこい祭りでは各競演場・演舞場の審査員から笑顔と元気あふれる踊り子に、メダルが送られます)

たまちゃん「練習めっちゃ楽しいです!体はキツいけど、参加して本当によかったと思います。メンバーの人とも気軽に話せて、みんな一緒だから頑張れます」 

仲間と励まし合いながら、チーム一丸となって本番に向けてラストスパートをかけていく2人。こうした熱い取り組みをしているのは、もちろん2人だけではありません。よさこい祭り前の数ヶ月、高知各地で同じような風景が繰り広げられています。実はこの練習過程も、よさこい祭りの魅力。つい本番だけを観てしまいがちですが、コツコツと練習を積み重ねてその成果を発揮しようと頑張る参加者たちのスポーツマンシップこそが、高知の夏の風物詩なのです。 

今回は4年ぶりにフル開催される第70回よさこい祭りを前に、よさこいの基本について、また参加者の生の声をお届けしました。 

次回のレポートは本番後を予定しています。「やっぱり観にいけばよかった」そう後悔しないように、皆さんぜひ高知に、本番のよさこい祭りを観に来てください!

第70回よさこい祭り

開催日時/8月9日(前夜祭)、10日・11日(本番)、12日(後夜祭・全国大会) 
http://www.cciweb.or.jp/kochi/yosakoiweb/ 
よさこい祭振興会/088-875-1178