車いすラグビーの池透暢選手が、ユニバーサルビーチでカヤック&ヨットを体験!
香南市夜須町の「YASU海の駅クラブ」は、「ユニバーサルツーリズム」を推進する施設の一つです。「ユニバーサルツーリズム」とは、全ての人が楽しめる旅行のこと。同クラブは、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もがマリンアクティビティを楽しめる体制を整えています。今回は車いすラグビー日本代表のキャプテン・池 透暢さんが、初めてのカヤック&ヨットに挑戦!その模様をお伝えします。
目次
美しい海に面した「YASU海の駅クラブ」
高知龍馬空港から車で約15分。「NPO法人YASU海の駅クラブ」は、ヤシィ・パークにほど近い海沿いに立っています。
ここは2002年の高知国体で、セーリング競技が開催された場所。その整った設備と恵まれた自然環境を活かし、シーカヤック、ヨット、SUP、シュノーケリングなど、さまざまなマリンアクティビティの普及活動が行われています。
YASU海の駅クラブがテーマに挙げているのは、「誰のものでもない海で、誰もが楽しむマリンアクティビティを」。全ての人が楽しめる「ユニバーサルツーリズム」を推進していて、クラブの目の前にあるヤ・シィパーク海水浴場に定期的に「ユニバーサルビーチ」を設置、海水浴やマリンアクティビティの補助を行っています。
風と一体になれる、シーカヤック&ヨット体験
今回夜須町を訪れたのは、高知県高知市出身の池 透暢(ゆきのぶ)さんです。
池さんは19歳の時に交通事故に遭い、左足を切断しました。左手にも障害が残りますが、その後車いすラグビーを始めて頭角を表し、日本代表のキャプテンになります。そしてパラリンピックのリオ大会・東京大会で銅メダルを獲得。今も2024年のパリ大会に向け進化を続ける、日本車いすラグビー界のエースです。
そんな池さん、実はアウトドアが大好き。船の免許を持っていて海にカツオを釣りに行ったり、ダム湖にブラックバスを釣りに行ったり、夏は友人たちとキャンプに出かけることも。
「でも海は最近ちょっと遠ざかっていたかな。車椅子は砂のところに行くとタイヤが埋もれて動けなくなってしまうし、砂が絡むと壊れてしまうんです。でも今日は道具を使ってアクティビティができるということで楽しみ。いいチャレンジになるかなと思います」。
YASU海の駅クラブのスタッフ・岡田さんに案内され、池さんはライフジャケットを着用。さらにカヤックとパドルを選び、目の前の湾に向かいます。
浜辺には、車椅子でも進める専用のビーチマットが敷かれていました。池さんは波打ち際まで移動し、カヤックに乗り込みます。
パドルの持ち方、漕ぎ方のレクチャーを受けます。「近くに付いていきますから、湾内なら好きなところに自由に行っていいですよ」と岡田さん。夜須の湾は波が穏やかなので、初心者でも安心です。
池さんを乗せたカヤックはスタッフ4人に持ち上げられて着水し、悠々と海へ旅立ちます。さすがアスリート、初めてのカヤックですが転覆することなく湾をスイスイ進みます。
「バランスを取るのが難しいけど、めちゃめちゃ楽しいです!教えてもらった通りに動かすとスムーズに進みます。これで釣りに行きたい!」と、満面の笑顔を見せてくれまし た。
しばらくカヤックを楽しみ、浜辺に帰ってきた池さん、次はヨットに挑戦です。
初心者用の小型ヨットに乗り込み、スタッフ4人が持ち上げて海へ。スタッフが操作方法を指導し、その通りに動かすとスーッと前進。
「速いですね!面白い!」カヤックに続き、こちらも順調です。
「教えてもらった通りに動かしたら、少しコツをつかめました。風が味方してくれたかな(笑)」と池さん。
「最初、“風が入ってくる”って言われても全然分からなかったんです。でも、うまく捉えてスピードが出た時、自然との一体感を感じられました。風をつかめるようになったら、もっともっとこの魅力を感じられるんだろうな。難しいからこそ、ハマりそうです!」。
高知で全ての人がマリンスポーツを楽しんで!
浜辺に戻ってきた池さんに、改めて感想をうかがいました。
「子どもみたいだけど、めちゃめちゃ楽しかったです(笑)。自然の中で遊べるってこんなに楽しいものかと。車椅子になって諦めていたものもあるんですが、諦めなくていいんだなって気づきました」。
YASU海の駅クラブの皆さんがサポートしてくださった今回の体験。池さんは「たくさんの方が手伝ってくださって、そのサポートがあって、これだけ楽しめました。こうやって手軽に楽しめることを、たくさんの人に知って欲しいですね」と話します。
そして浜辺に敷かれた専用のマットについても、かなり関心を持った様子。
「砂のところは、車椅子だと全然移動できないんですよ。でもこのマットがあれば、普通に進めます。車椅子だけではなくて、ベビーカーにもシルバーカーにも、そして杖を使う方にも便利だと思います。コンクリートでスロープを作るような大きな工事をしなくても、このマットを広げれば誰もが歩きやすくなる。こういうものがもっと普及して、たくさんの人が使いやすくなったらいいなと思いますね」。
「それに車椅子に関しても、例えばタイヤが大きいビーチ用とか軽くて丈夫なものとか、サポートしやすいものも、もっと生まれてきたらと思います。そうしたら、誰もがマリンアクティビティを楽しめるんじゃないかな」。
ユニバーサルツーリズムへの思いを、当事者の声として聞かせてくださいました。
最後に、池さんからメッセージをいただきました。
「今日は自然と一体になれて、本当に楽しかったです。自然を大事にしながら自然の中で遊ぶ、こういったことをもっともっと今の子どもたちに体験して欲しいなと思います。今日体験させてもらったYASU海の駅クラブは施設が整っていて、スタッフの方からも学ぶこともできました。やっぱりマナーを勉強して守って楽しむことが大事だと思うんです。これから自分も、もっともっとマリンアクティビティを楽しんでいきたいです!」。
施設情報
NPO法人YASU海の駅クラブ
住所/高知県香南市夜須町千切536-19
電話番号/0887-57-1855
営業時間/8:30~17:30(月曜定休日)(祝日の場合は火曜日))
HP/https://www.yasu-uminoeki.com/