心地よい潮風と鉄道ロマン香るサイクリングロード

高知県東部地域には、香南市から安芸市まで約15ｋｍを結ぶ自転車・歩行者専用道路「高知安芸自転車道」があります。1924～74年まで運行していた土佐電気鉄道・安芸線の廃線跡の一部を整備してできたサイクリングロードで、比較的アップダウンも少ないためレンタサイクルを利用してビギナーでも気軽に走れるコースです。また、道中には貴重な鉄道遺構や、CM、SNSで話題の場所、海沿いの絶景ポイントなども点在。サイクリングしながら楽しみたいスポットを、西から東に向かって紹介します。

高知安芸自転車道とは

土佐電気鉄道・安芸線の廃線跡を活用し、昭和60年に自転車・歩行者専用道路として再生。正式名称は「一般県道高知安芸自転車動線(県道501号)」。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の香我美駅付近から安芸漁港周辺までの約15kmの道を指し、大部分が現在のごめん・なはり線の南側に沿っています。サイクリングはもちろん、遍路道としても親しまれています。

安芸自動車道コース

まずは自転車をレンタル

自転車道の区間内で自転車がレンタルできる施設は2カ所。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「夜須駅」下車後すぐの便利な場所にある「道の駅やす ヤ・シィ広場」。または、高知東部交通バス停 「手結山」から徒歩5分、自転車の種類も台数も豊富な香南市「サイクリングターミナル」で借りることができます。

2カ所とも駐車場を完備しているため、車でのアクセスも可能。

南国ムード満点「ヤ・シィ パーク」

レンタサイクル施設のひとつ、道の駅やすに隣接する「ヤ・シィ パーク」。県下一の規模を誇る海水浴場を持つ複合施設で、530mも続く海岸沿いの遊歩道、遊具を備えたこども広場、予約制で利用できるビーチバレーコートや、バーベキューも可能なピクニックサイトなどを備えた南国らしい施設です。

青空と海の景色はもちろん、夕暮れ時のロケーションも最高なのでサイクリングの前後に散策したり、道中に園内のレストランやカフェでランチやスイーツを味わいながら一休みするのもオススメ。

天高くそびえ立つ圧巻の迫力！「手結港可動橋」

ヤ・シィ パークから東へ約800m、手結港の入り口に架けられた全長32ｍの可動橋。 1日6回、船の通航のために開閉され、一方の道路が橋げたごとゆっくりと跳ね上がっていく全国でも珍しい「片側跳開橋」です。跳開角度は最大70度、天高くそびえ立つ様子は道路に突き刺さっているかのようです。

2002年に完成、こども番組やCMのロケ地として紹介されたことで注目を集め、今では県外から多くの方が訪れる観光スポットに。橋のたもとに設けられた展望スペースから大迫力で見るもよし、離れたところから街並にとけ込んだ姿を見るもよし。それぞれの場所からお楽しみ下さい。

橋が閉じられ、車や人が通行できるのは1日7時間のみ。タイミングを狙って走り抜けましょう。

あの頃の姿を残すトンネル

手結可動橋から東へ約１km、手結の上り坂を登り切ったあたりに現れるのが「手結山第一隧道（ずいどう）」。その少し先には「手結山第二隧道」があり、土佐電気鉄道安芸線時代の姿がほぼそのまま残っています。かつてここを走っていた車両への思いを馳せながらサイクリングを楽しめるとあって、鉄道ファンの間でも評判です。

心地良い波の音に癒される「琴ヶ浜」

手結山第二隧道からさらに東へ4kmほど進んだ先の安芸郡芸西村に広がる「琴ヶ浜」。
“日本の白砂青松100選”にも選ばれるほど美しい砂浜の向こうには、真っすぐな水平線。

波の音と海の風が心地いい癒しのスポットです。

琴ヶ浜周辺のサイクリング区間は、松の木の間をすり抜けるように走れる整備された路面。
特に爽快感を感じられるコースです。

海とつながるように設置されたインフィニティウッドデッキ、芸西村を代表する花「ブルースター」のイメージキャラクターCOCOROちゃんと写真が撮れるベンチなど、フォトスポットも色々。

琴ヶ浜の駐車場では、坂本龍馬の妻「お龍」とその妹「君江」が桂浜の龍馬像に向かって手を振っている。龍馬の死後、お龍が妹を頼り芸西村に身を寄せていたことから建てられたそう。

突然現れる異国風景「赤野自転車道休憩所」

琴ヶ浜から海岸沿いをさらに東へ約3km自転車を走らせると「赤野自転車道休憩所」に到着。オリーブの木と芝生に囲まれた敷地に地中海を思わせる印象的な建物、琴ヶ浜を一望できる写真映えスポットとして、SNS上でも話題。辺りでは春には桜も咲き誇ります。

トイレ、ベンチ、駐車場もあり、サイクリング途中の疲れた体を休めるのにも最適です。

終点の安芸市へ、「カリヨン広場」を目印に

安芸自転車道には明確なゴールの目印はありませんが、赤野自転車道休憩所から東に6km弱の所にある土佐電気鉄道安芸線の終点・安芸駅跡に作られた「カリヨン広場」がゴール地点とされています。

カリヨン（鐘）時計には安芸市にゆかりのある弘田龍太郎氏の作曲した童謡を約50曲収録。季節や時刻に合わせて1日数回演奏されます。鐘とともに、特産品の柚子をモチーフにした黄色い球体からからくり人形が現れます。

地元の特産品がずらり「安芸ぢばさん市場」へ

カリヨン広場から1.7km、国道55号線の方からごめん・なはり線安芸駅の方へ。
駅構内に併設された「安芸駅ぢばさん市場」に足を延ばします。地元でとれた新鮮な野菜や鮮魚、焼きたてパンやお弁当、他では買えない加工品や地酒なども揃い、休憩スペースも完備しています。

生産者市や特産品のほか、安芸で生まれためずらしい味のアイス、工芸品の内原野焼まで安芸ゆかりの商品がたくさん販売されています。

また、安芸駅ぢばさん市場ではレンタサイクルの無料貸出（当日受付のみ・乗り捨て不可）を行っており、大人用自転車11台、子ども用自転車3台を完備。安芸市内の観光にはぜひこちらもご利用ください。

https://www.akikanko.or.jp/chokuhanjo/dibasan.html

安芸市には、野良時計や武家屋敷、安芸城跡や岩崎弥太郎の生家など歴史を感じさせる見どころがたくさん。サイクリングしながら市内観光を楽しむのもおすすめです。

いかがでしたか？「高知安芸自転車道」は雄大な太平洋にノスタルジックな鉄道遺構、時折現れる民家やお遍路さんの休憩所など、味わいと変化に富んだ風景が最大の魅力。

自転車・歩行者専用道路だからこそ、車の往来に悩まされることなくじっくりと堪能することができます。

往復約30km、平均的な時速15kmで走ると約2時間のサイクリングですが、体力と相談しつつ好きな場所で折り返すなど、自分のペースで楽しんでみてください♪

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