投稿日 : 2024.07.19
首位独走の高知ユナイテッドSC。試合の舞台裏に密着し、強さの秘密に迫る!
2024年シーズン、日本フットボールリーグ(JFL)で首位を独走中の高知ユナイテッドスポーツクラブ(SC)。今回は、技術や戦術を超えたチームの底力を探るべく、6月30日(日)に行われたブリオベッカ浦安戦に密着! 試合の裏側から見えた、強さの秘密をレポートします。
目次
高知初のJリーグへ!チームの歩み
高知ユナイテッドSCがJFLに昇格したのは2020年です。1年目は14位、2年目は13位、3年目は11位と苦戦を強いられましたが、4年目の2023年シーズンは7位に浮上。さらに昨年は天皇杯でJ1のガンバ大阪、横浜FCを立て続けに破るなど、着々と力をつけてきました。そして5年目の2024年シーズンは7月19日時点で13勝2敗1分と好調をキープし、開幕から首位を独走しています。
今年度の高知ユナイテッドSCは、地域密着の取り組みにも力を入れています。「地域に愛され、必要とされるクラブに」というコンセプトを掲げ、事務所はサポーターやボランティアが気軽に立ち寄れる高知市中心部に移転。移転の際は選手たちが商店街の店舗へ挨拶に回り、地域住民から歓迎されました。また商店街で行われるイベントに選手が参加するなど、地域との絆を深めています。
身近な存在であると同時に、子どもたちの憧れでもある選手たちに、高知県民は熱い視線を送っています。県内のいくつかの企業は、選手たちの練習後のアルバイト先を提供し、生活面をサポート。試合ごとに応援に訪れるサポーターが増え、2024年6月30日のJFL第14節 ブリオベッカ浦安戦には、客席の9割を埋める1,528人が来場しました。まさに「地域に愛されるチーム」へと、高知ユナイテッドSCは成長を遂げています。
チームは高知初のJリーグ参入を目標に掲げており、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に対して、2025年シーズンのJ3クラブライセンス取得の申請をしています。Jリーグ理事会によって承認されたうえで、Jリーグが定める入会要件を満たした場合、来季のJリーグ参入が可能となります。
Jリーグが定める入会要件や、県内の企業で働きながら夢を追う選手はこちらのページでご覧ください。
試合前の素顔
6月30日(日)、高知県立春野総合運動公園 球技場で行われたブリオベッカ浦安戦。「スポる!高知」取材班は選手たちの素顔に迫ろうと、試合前からチームに密着しました。
試合会場に選手たちが到着したのは、試合開始約3時間前の11時頃。
「こんにちは〜」とサポーターやボランティアスタッフに声をかけてくれる選手たち。試合直前にもかかわらず爽やかな笑顔を向けてくれます。この親しみやすさが、地域住民に愛される理由です。
12時頃、ベンチ入りした選手たちはロッカールーム前でストレッチ。どの選手も最高のパフォーマンスを発揮するために、時間をかけて入念にストレッチを行います。談笑している人もおり、引き締まった空気感の中にも、リラックスしている様子がうかがえます。
トレーナーによるサポートも受けて、全ての選手がコンディションを万全の状態に整えていきます。
12時40分になると、スプリンクラーによる散水がスタート。バックスタンドのサポーターたちも、太鼓を叩き応援を開始。本番が近づいています!
会場のムードが高まる中、選手たちは個々のストレッチを終え、30分間のウォーミングアップ。互いに声を出し、時には笑顔を見せながら行う様子からは、チームワークの良さ、チーム内の雰囲気の良さが伺えます。
徐々に強度をあげていくウォーミングアップの間、吉本岳史監督やコーチ陣は「100%に上げていくぞー!」と選手たちの士気を高めます。心身をほぐしながら、本番に向かって徐々にモチベーションを上げていく選手たち。その姿からは、Jリーグ参入を目標に掲げ首位を保ち続けるチームならではの緊張感と落ち着きが感じられました。
熱い戦い!チームの団結力を垣間見た!
試合開始前、控えのメンバーは氷水を入れたバケツやタオルを用意し、先発メンバーのフィジカル面をサポート。ピッチに立つ一人一人が自分の責任を全うするのはもちろん、控えを含めたみんなが一つになって、目の前の勝負に挑んでいます。このひたむきな姿勢と団結力こそが、高知ユナイテッドSCの魅力です。
そして試合開始10分前。ロッカールームでの戦術ミーティングが終わり、ベンチ裏で監督が再び選手を鼓舞します。
「お互いに声をかけろ!全員でコミュニケーションをとれ!11人全員が役割をしっかりこなせ。やりきれ!疲れたらバックアップメンバーに渡せ!仲間を信じろ!やるべきことやっていくんだ!ためらうな!さあ行こう!」メンタル面のコンディションを上げて戦うチームへと仕上げていきます。
円陣が組まれます。
「行くぞー!」と声を上げたのは、小林大智キャプテン。合わせるように、18人の雄叫びが響きます!
先発メンバー、控えのメンバー、監督やコーチとハイタッチしてピッチへ。チームに関わる全ての人の熱い思いを受け、モチベーションは最高潮!
試合は前半、打倒首位を掲げるブリオベッカ浦安に攻められる場面もありましたが、GK・DF陣は硬い守備に徹し、得点を許しません。一方、MF・FW陣もチャンスをものにしようと粘りのプレーを続けます。
ベンチメンバーも、味方のピンチにはベンチから声を出し、試合を分析し攻撃の糸口を探します。
両チームとも互いに集中力を切らさない拮抗した試合展開で、前半を0-0で折り返しました。
控えメンバーは「ナイス!」と声を張り、ピッチから戻ってきた選手を出迎え。若手、中堅、ベテランが心を一つにして、「ここからだよ!」「絶対に勝つよ!」と互いに鼓舞し合います。
後半はベンチメーバー全員がウォーミングアップを開始。試合展開によっていつでも交代できるようにチームとして準備します。
ウォーミングアップ中も常に戦況を見つめ、まさにチーム全員で戦っています。
試合が動いたのは試合終盤。高知ユナイテッドSCは常に冷静に、時に臨機応変にゲームを展開。そして38分、後半から投入されたFWの新谷聖基選手が右クロスに反応し、PKを獲得。
新谷選手自ら冷静にゴールを決め、これが決勝弾になりました。見事、全員プレーを貫いた高知ユナイテッドSCが1対0で勝利です!
サポーターの応援も大きな力に
粘り強い試合展開で勝利をつかんだ高知ユナイテッドSC。入念な準備や冷静な試合運びから取材班は、ひたすらに勝利を追い求める選手たちの真摯な眼差しと、チーム全体に漂う一体感を間近で感じることができました。
高知ユナイテッドSCにあるのは、「Jリーグ参入」という明確な目標。それを皆が共有し、一戦一戦に挑んでいます。一人一人が自分の果たすべき責任を自覚・実行し、同時に互いに信頼し合いながら試合を展開。その個々の意識の高さと団結力こそが、チームを上へ上へと押し上げているのかもしれません。
そして選手たちの背中を押す力がもう一つ。試合会場に集まったサポーターの声援です。
ウォーミングアップ時から鳴り響く「高知SC!」の声。試合中も選手たちへの声援は止むことがありません。この日は高温多湿でかなり厳しい条件でしたが、サポーターたちの応援を力に変え、選手たちは最後まで全力でボールを追いかけていました。
勝利のあと、観客は「よう頑張ったー!」「よくやったー!」とピッチ場で一礼する選手たちを称えます。さらに試合終了15分後からは会場の外で、選手たちによる恒例の見送りがありました。まるで祭りのような盛況ぶり!
サインや記念撮影に快く応じる選手たち。試合後、疲労度MAXの身でありながら、笑顔を絶やさずにファンサービス。選手たちの紳士な対応に、サポーターは大喜びです。
小学生の女の子は「高知ユナイテッドが大好き!選手たちのサインを集めています!今日は新谷選手がPKを決めてくれて良かった!」とうれしそうに話してくれました。
「ホームの時はいつも観に来ています。応援に来たら元気になれるんですよ!」そう話してくれたのは、お友達と応援に来た高齢の女性。そのほかサポータークラブとして活動している男性は「前身のアイゴッソ高知時代から応援しています。サッカーを通して地域が活性化してほしい。この盛り上がりがもっともっと広まったらと思います!高知に試合に来てくれるアウェイのチームも歓迎しています」と、サッカー愛、選手たちへの敬意を語ってくれました。まさに多くの高知県民が、高知ユナイテッドSCに元気と勇気をもらっています。
吉本岳史監督も試合後、「サポーターの声援が、選手たちへの良いプレッシャーになっています。今日も皆さんの応援があって、選手たちは勝つために粘り強く戦ってくれました」と話しました。
またPKを決めた新谷選手は「皆さんの応援が力になりました。自分はFWで得点できただけで、個人ではなくチームで勝ち取った勝利だと思います。今後も満足することなく頑張っていきたいです」と、さらなる活躍を誓いました。
春野総合運動公園へのご案内
次回のホーム戦は、8月31日(土) → 9月1日(日)、JFL第18節 ヴェルスパ大分戦です。会場は、高知県立春野総合運動公園 陸上競技場。18時 → 15時キックオフ予定。
春野総合運動公園には、高知市中心部と高知競馬場からシャトルバスが運行される予定です。当日、春野総合運動公園の駐車場は混雑が予想されるため、観覧希望の方はぜひシャトルバスのご利用を。シャトルバスの詳細は高知ユナイテッドのHPで発表予定です。
http://kochi-usc.jp/category/news/game/
8月31日(土) → 9月1日(日)は先着5,000名様にオリジナルTシャツの配布や、ナイター試合ということもあり、お祭り気分が味わえるような露店の出店、試合後には、花火が打ち上げられるなど計画されています。家族やお友達などを誘って、春野に行きましょう。そしてみんなで選手たちに声援を送りましょう。みんなの声援が、必ずやJリーグ参入の力になるはずです!
9月以降のホーム戦は以下の通りです。
9月15日(日)
JFL第20節 FCティアモ枚方戦
高知県立春野総合運動公園 陸上競技場
15時キックオフ
10月6日(日)
JFL第23節 栃木シティ戦
高知県立春野総合運動公園 陸上競技場
13時キックオフ
10月20日(日)
JFL第25節 沖縄SV戦
高知県立春野総合運動公園 陸上競技場
13時キックオフ
11月10日(日)
JFL第28節 ソニー仙台FC戦
高知県立春野総合運動公園 陸上競技場
13時キックオフ
11月24日(日)
JFL第30節 クリアソン新宿戦
高知県立春野総合運動公園 陸上競技場
13時キックオフ