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今を楽しみ、悔いなく生きる!元阪神タイガース、ドリス選手の熱き思い

今を楽しみ、悔いなく生きる!元阪神タイガース、ドリス選手の熱き思い

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今年度「高知ファイティングドッグス」に加入したラファエル ドリス選手は、メキシコ球団からのオファーを蹴って、単身日本にやって来ました。なぜ高知に来たのか?そして高知で思うこととは。胸の内を語っていただきました。

高知ファイティングドックス入団の経緯

2024年4月に発表された、ラファエル ドリス選手の高知ファイティングドックス(FD)入団ニュースは、日本中の野球ファンを驚かせ、歓喜させました。

前年、メキシカンリーグでプレーしていたドリス選手。実は2024年も同リーグからオファーを受けており、メキシコでプレーするつもりだったと言います。その思いを変えたのは、高知県出身の元阪神タイガース選手で、かつて高知FDにも所属したことがある藤川球児さんでした。

藤川さんとドリス選手はシカゴ・カブス時代のチームメイトです。ドリス選手が来日した際も阪神タイガースで一緒にプレーされ、長い付き合いがありました。その藤川さんが、ドリス選手と高知FDの架け橋に。「日本かメキシコか少し迷ったけど、藤川さんが “日本においで” と。自分は日本の生活をよく分かっているし、日本の人たちとの関わりにも興味があった。それですぐ日本に来ることを決めたよ」そう話します。

即断したとはいえ、36歳という年齢や、家族を故郷においての単身来日を考えると、並々ならぬ覚悟があるはず。そこで今回はオフの日に、高知での生活や日本への思い、野球への向き合い方などを語っていただきました。

高知での生活&ドリス選手の素顔

まずはリラックスムードで乾杯!お酒や日本食が好きというドリス選手、高知での食生活もご自身の体に合っているようです。

「日本食はみんな好きだね。刺身を初めて食べたのは2016年。阪神時代、藤川さんがいろいろな店に連れて行ってくれて、日本食を少しずつ教えてくれたんだ。それで全部食べられるようになったよ」。

高知と言えば、カツオの藁焼きタタキが名物。そこでこの日は藁焼きにも初挑戦!

「ボニート(カツオのこと)は大好きだよ。自分で焼いたボニートはメッチャ良いね!塩もポン酢もどっちもグッド!ボニートはプロテインが多いから、メッチャパワーがつくよ!」。

「気にせずなんでもよく食べるよ」と本人は笑いますが、体のことをしっかり考えていてヘルシー志向です。「日本食はヘルシーでいいよね。ししゃもも高タンパクでお気に入り。まぁ一番好きなのはアルコールかな(笑)。唯一苦手なのは、ちくキュウだね(笑)。ちくわもキュウリも単体なら食べるけど、あの組み合わせは理解できないよ!」。

高知での生活はいかがですか?

「今日は鏡川で釣りにチャレンジしていたよ。残念ながら釣れなかった!」。

オフの日はほかに、お酒を飲みに行ったり、仲間と温泉や旅行に行ったり、高知での生活に親しんでいるとか。その場でサインや記念写真を求められると、嫌な顔一つせず明るく笑顔でみんなにファンサービスしていると、同席した高知FDのスタッフは話します。

「断る理由なんてないよ。出会う人みんなと仲良くなれたら楽しいし、幸せでしょ。この、幸せを第一にっていう考えは、お父さんの教えなんだ」。

周囲を明るく照らしてくれるチャーミングな笑顔、ファンやスタッフへの優しい心遣いなど、ドリス選手の人柄の良さが分かります。

大好きな日本への思い

「日本にいるのがとても心地いい」そう話すドリス選手に、改めて5年ぶりの来日について聞きました。

高知FDにやってきた一番の理由は、NPB復帰ですか?

「NPBももちろんあって、血が湧き上がるような戦いっていうのかな、アドレナリンが出る戦いを求めてやってきたんだ。でも大きい理由はそれだけではなくて、日本が自分に、とても合っていることなんだ。日本の文化が好きだし、とても安全で住みやすいし。他の国では夜道を1人で歩いたり子どもが1人で出歩いたりなんてできないよ。日本はすごく居心地がいいね」。

高知FDで目指すものは?

「自分が良い方向にいけばいいし、もちろん今のチームメイトにも足りないところはアドバイスして、みんなが良い方向に行けばいいと思ってるよ」。

メキシカンリーグのオファーを断って、高知にやってきましたね。

「自分はお金より幸せが大事だと思ってるよ。さっきも言ったけど、これはお父さんの教えなんだ。人生は一度きり。だったら幸せが一番だと思う。人は生まれた時は何も身につけていないよね。でも育っていくうちにお金を持つようになったり、大きい家を持つようになったりする。でも結局、死んだら棺にはお金も大きい家も入れられないんだ。自分は何か残すとしたら、子どもたちに残したい。だって自分のものにはできないんだから。自分がどう生きたかを伝えたいね」。

幸せが一番大事という言葉が響きます。そして人生は一度きり、自分がどう生きたか伝えたいという言葉は、単身日本に来て全力プレーする姿につながります。

「悔いのないように楽しく生きる、それが一番だよ。永遠を生きるか今この瞬間を生きるかをもし質問されたら、自分は間違いなく今を楽しむべきだって答えるね。悔いのないように生きていきたいよ」。

誠実な性格は、お父様の教えはもちろん、長い経験の中でも培われたものなんですか?

「人にも恵まれてきたかな。ずっと前だけど、アリゾナのキャンプにドミニカ出身の選手が招待されたことがあったんだ。そこで自分は、カルロス・ザンブラーノにすごく気に入られてね。一生懸命トレーニングするし、何より人の話をよく聞くって、自分の人格を買ってくれたんだよ」。

ドリス選手を気に入ってくれたというカルロス・ザンブラーノ選手とは、ベネズエラ出身の元大リーグ投手です。ドリス選手が入団したシカゴ・カブスでエースとして活躍し、2006年には最多勝投手に、さらに2008年にはノーヒットノーランを達成。メジャー通算で132勝を挙げるなど、輝かしい実績を残しています。またスイッチヒッターとしても知られ、メジャー通算24本塁打を挙げました。まさに元祖二刀流ともいえる、スタープレイヤーです。

「彼は2012年にマイアミ・マーリンズに移籍したんだけど、お前はメジャーで絶対活躍できるって言ってくれたよ。それからシカゴにある彼のマンションを使っていいって、鍵を渡されてね。だからシカゴにいた時はお金を全然使わなかったんだ。あと、彼のニックネームだった「トロ」(スペイン語で闘牛の意味)も引き継いだね」。

チームメイトへの影響&野球との向き合い方

経験豊富なドリス選手の存在が高知FDのメンバーにどのような影響を与えているのか、キャプテンのサンフォ ラシィナ選手に聞きました。

選手の中で変化はありましたか?

「自分たちがもっと変わらなければいけないと気づかせてくれています。ドリスがみんなよりトレーニングしていたり走ったりしている姿を見て、自分たちがやってきたことを見直しました。そして足りないところが見えてきました。それに加えて良い球を投げているので、ピッチャーはすごく勉強になっていると思います」。

アドバイスももらっているのでしょうか?

「はい。バッターを見て、どこで変化球を投げるのか、どこで打ち取れる球を投げるのか、どこで三振を狙うのかを教えてくれている。配球についてアドバイスしてくれていて、ピッチャーもキャッチャーも、そして打者も、意識が変わったと思います」。

ドリス選手から受けた刺激をどう変換していきたいですか?

「量だけではなくて質の良いトレーニングをしているので、見習いたいです。高知FDに来てから、チームメイトみんなにいろいろなことを教えてくれている。自分たちも、もっともっとレベルアップしようと思います」。

ドリス選手にも、高知FDのチームメイトへのアドバイスについて伺いました。

「自分はメジャーのトッププレイヤーを見てきたから、打者のメカニックも見えてくるんだ。だから打てない選手には、ピッチャーの目線でなぜ打てないのかを伝えたいと思ってる。例えばある選手には、全身の動きそのものではなくて、ピッチャーの動きに対してどうスイング反応するか、それは投球後の0.1秒か0.2秒かという精度の話なんだけど、その反応ができるようにハンドワークの練習をしたほうがいいと伝えたね」。

「高知FDには能力のある選手がいるよ。ただ、もう1つ上に行くには、頭で考えて野球できるかが大事だ。それに、意識を変えても続けなかったら意味がないんだ。変えたあとは継続が大事だよ」。

頭で考えて野球するとは?

「野球はメンタルのスポーツだよ。フィジカル面がクローズアップされがちだけど、実は頭を使うスポーツなんだ。100%何が起こるか分からないのが野球なんだけど、何が起こるか想像できていて、それに体が反応できるように準備している選手が良い選手なんだ。つまり野球は総合力でやるスポーツだね。それに良い選手、つまり天才と言われる選手は、まず自分の体に向き合って考え、自分にベストな質の良いトレーニングができている。頭の良い選手でないとできないことだよ」。

体のケアはもちろん、考えることが何より野球には大事だと語ってくれたドリス選手。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

なお、登板当日にドリス選手に密着した記事はこちらでも紹介しています。高知球場での試合予定も掲載していますので、あわせてご覧ください。